一章 続・紅き意志、それぞれの望み

17/171
前へ
/393ページ
次へ
「私決めたよ。これからのこと。だから…。」 ふと、セレスは言葉を区切る。 そして、ゆっくりと剣を抜いたかと思うと、 「それをする為に、今はシークを止めるの!力ずくでもね!」 セレスは叫ぶように言い放って、走り出した。 これにはシークのみならず、二人のやり取りを静観していたヴァイス達も不意を突かれ、驚いてしまった。 「っ!!そっちの二人はその為の応援か何かか?」 躊躇いなく繰り出された攻撃を、振り返り様に鞘で受け止め、シークはヴァイス達の方をちらりと一瞥する。 男の方は見覚えが無いが、女の方は有る。 あいつから俺の足取りを聞き出したか。 すぐに同行している理由に検討が付く。 そんなことを考えていると、 「協力はして貰ったけど…シークを止めるのは私一人の役目!」 と、セレスが大きな声で言って再び攻撃を繰り出す。 これは、その場に居る他の者達に対する牽制でもあった。 手を出さないで欲しい、と。 それに困ったのはヴァイスである。 立場上、クルス…大司教を助けるべき教会騎士が傍観するのは問題なのだろう。 「ヴァイス、お前はこいつを公の場で裁かせる算段でも考えとけ!」 シークもまた、半分セレスに乗っかる形で手出しを拒む。 勿論残りの半分は、セレスに加勢されると面倒でもあるからたが。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加