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「じゃあ何か?お前は俺と行きたいが為に、自分にとって不都合な結果になるのを防ぎたい、と。」
「そうよ!!」
正真正銘呆れ顔で確認するシークに、セレスはふん、と鼻を鳴らしながら胸を張ってみせた。
どれだけ自分勝手なのだ。
彼女は大体こんな感じの人間である。
解っているが…解っていてもやはり、改めてそういう姿勢を目の当たりにすると、頭を抱えたくなる。
それに。
「セレス、お前は俺が何者なのかと尋ねてきたことが有ったな。」
「な、何よ突然。」
シークの脈絡の無い発言に、きょとんとするセレス。
だが、シークにとってこれは重要なことだった。
「俺が何者であろうと、共に旅をしたいと望めるのか?」
努めて落ち着いた口調で尋ねるシークだったが、彼自身でも、緊張してしまっていることが解る。
無論、それはセレスにも伝わっていた。
思わぬ方向へと進む状況に、ヴァイス達はただ、黙って見守る他無い。
「…うん。シークはシークだもん。私にとって、それは重要じゃない。」
「…そうか。」
答えを聞いて、シークは鞘を下ろし、腰に帯びる。
それはセレスの目的を達成出来たということである。
「ならば、話そう。俺はっ…。」
場の緊張が解けて、再びシークが口を開いた刹那、それは起きた。
白い輝きを放つ槍が、シークの身体を貫いたのである。
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