一章 続・紅き意志、それぞれの望み

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「シーク!!」 慌てて駆け寄るセレス。 シークはその場に片膝を付いて、 「俺としたことが…つまらん結果を招…!!」 ぎり、と悔しそうに呟いたかと思うと、勢い良く喀血した。 「ふ、ふはは、私とて、かつては戦場に居たこともあるのだ!油断したな?ふはははは!!」 その後ろで、クルスが勝ち誇ったような笑みを浮かべながら吐き捨てる。 「大司教…貴方という人は!」 幻滅したように表情を歪ませて、ヴァイスがそんなクルスを睨み付ける。 「文句は後だ。何とか手当てを試みるべきじゃねぇのか?」 それを嗜めるように言ったライゼの言葉で、ヴァイスははっと表情を改めて、自身もまたシークへと駆け寄る。 「そういうアンタは何にもしないのね?」 「俺ぁ治療は専門外だ。」 茶化すようなリオンに、ライゼは酷く落ち着いた様子で答えた。 とても目の前で誰かが息絶えようとしているとは思えないくらいに。 「だがまぁ、代わりにあの爺さんを見張るくらいはしねぇとなぁ。」 と、ライゼはわざとらしく呟いて、クルスの方へと歩いていった。
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