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「セレ、ス…。」
懸命な治療の甲斐有ってか、弱々しいながらもシークが口を開いた。
「シーク、しっかり!必ず…必ず助けるから!」
そんなシークの声に、セレスは精一杯の力強さを込めた声で答えた。
しかし、
「止せ…。」
そう言ってシークは、首を力無く横に振る。
どうしてそんな、と思いがけない言葉で動揺するセレス。
そんな彼女へ、シークは言葉を続ける。
「ここから、離れろ…。」
「どうして!?このままじゃ死んじゃうんだよ!」
「離れるんだ…。」
力を振り絞るように今一度言うと、再びシークは静かになった。
「シーク!?」
「………。」
慌てて様子を確かめるセレスとヴァイス。
しかし、セレスが見たのは、うごかなくなったシークと、悔しそうに表情を歪めるヴァイスだった。
「嘘、だよね…?」
ぽつり、セレスが小さく呟いた。
しかし、その問いには誰も答えない。
目の前のそれこそが、答えなのだから。
「うわぁぁぁァァァッ!!」
瞬間、セレスは悲痛な叫び声を発し、
「ぐふぅあっ!?」
一瞬でクルスへ飛び掛かり、腹部へと凄まじい拳の一撃をお見舞いした。
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