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がくり、と気を失って崩れたクルスを見下ろすセレスの瞳。
それは酷く冷たいもので、それを見たヴァイスは戦慄を覚えた。
「おーっとそこまで。お前さんまで手を汚す気かい?」
そんな相手に対し、けれどライゼは特に変わった様子も無いまま言う。
「そんな爺さん、手を下すまでもないでしょ?」
重ねて、リオンが続く。
刺激してはまずいのでは。
はらはらするヴァイスだったが、
「…大丈夫。そこまではしない。」
セレスが答えて、二人がにやりと笑う。
様子だけ見れば、ちっとも大丈夫そうには見えないが。
ヴァイスがそんな風に考えていると、ライゼがちらりと視線を向けてきたことに気付く。
「で、この状況どうするね?」
「う。」
改めて光景に目をやる。
気絶するクルスに、横たわるシークの亡骸。
辺りには鮮血が広がっている。
これは…収拾がつかないかもしれませんね。
ヴァイスが冷静に今の状況を考える。
と、
「シーク…。」
セレスが力の抜けた声で呟いて、頼りない足取りで再びシークの傍へと歩み寄っていった。
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