一章 続・紅き意志、それぞれの望み

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実行に移す前に辺りを見渡す。 近くに幼い子供が居るだけだ。 騒ぎに繋がってしまうような人の目は無い。 「…ふぅ~、よし。」 一つ息を吐いて集中する。 そして、強化とほぼ同時に大地を思い切り蹴った。 ブワッ…。 身体があっという間に宙に躍り出る。 幾らか能力の発揮値が足りないらしく、途中で更に壁を蹴り、再び高みへと舞った。 壁の頂点が見えたところで、 「ふっ!」 掛け声と共にロープを投げる。 壁の上部、突起の有る場所へと飛んでいき、ロープはぐるぐると巻き付き、引っ掛かる。 後はそれを引っ張るだけで自然と身体が動いた。 あっという間に壁の向こう側の地に着地する。 これで一つ目の関門は突破だ。 「…向こう、か。」 次は、聴覚を最大限に強化。 街らしき存在、その方角を探知して、走り出した。 いつどんな障害が現れるか解らない。 先を急がなくては。
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