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「止まれ!」
大司教の側に控えていた男の一人が、シークの接近に気付き、叫んだ。
見れば聖職者の格好には似合わない剣を腰に帯びている。
どうやら護衛の類いなのだろう。
「何者だ?大司教様の御前であるぞ!」
別の男が仰々しく言ったので、シークは思わず笑いを溢してしまう。
「お前…!!」
「待ちなさい。」
そんなシークへと男が掴み掛かろうとしたが、大司教と呼ばれた人物がそれを制止した。
「見掛けない姿だ。…済まないね、旅の方。彼は謹厳実直故に、融通が利かぬ。無礼を許して欲しい。」
シークの格好を見て旅人だと判断したらしく、大司教は言いながら頭を下げる。
辺りではその対応を賞賛する声が聞こえてきた。
こういうところは「昔と何ら変わらないな」と、シークは再び小さく笑った。
「大司教様の心広いお言葉を笑うとは…!!」
「あぁ、すまない。思い出して、つい。」
再び怒りの色を浮かべた護衛の男達に、シークはそう言って表情を改めた。
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