声なき魔導士たちのうた

ギルドが転生した

　ＭＩＳＡがタッチで呼び出したのは、ブラウンのプルオーバーパーカーに黒のボトムスを合わせた、少しフェミニンな髪型の"ダ・ピンチ"と言う男性プレイヤーだ。

みんとさんの嘗ての友人で、フリーメイ村の現ギルドメンバー。

どんなプレイヤーだろうと予測していたけれど、グラフィック上は普通な人と言う印象が強い。戦い方はテンプる騎士団や、それを受け継いだみんときゃんでぃーずとは真逆と聞く。

　「ウィー、パッパ、パラッポ......」

　ダ・ピンチは画面に現れるなり呪文を詠唱し、黒のスペルたちを周囲に放散すると、球体のようなものを身に纏った。

　「パッパ、パラッパ、ラバラバ！」

　１５大福さんはマトリョーシカに命令を出し、悠然とダ・ピンチに進軍させるが、ダ・ピンチの放った亡霊のような黒い影はマトリョーシカを避けて画面外に飛んでいく。

　画面外？

　「みんなっ！」

　ダ・ピンチの狙いは、１５大福さん以外のメンバーだっ！

大急ぎでカメラアングルを動かして確認すると、早くもともちさんが黒い影に直撃し、グラフィックが黒く変色していた。３５、３５、３５と地味に体力を削られている。

みんとさんの話では、ダ・ピンチは弱体化のプロフェッショナル。

かれの使う呪文は相手を「毒」に冒す呪文のようだ。