声なき魔道士たちのうた

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 「ナオサン!」  丈の短いグレーのピー・コートに黒のボトムスの眼鏡男子ちゃまるさんは呪文を詠唱し、四方に舞う白いスペルを上空に上げる。 それは大きな二つの翼を広げ、長い首と尻尾を凛々しくピンと立てた鳥。鶴の姿に変わる。頭の部分に丸い眼球のような模様が二つ現れ、静かにみんとさんとともちさんの方を向いた。  「折り鶴だ。綺麗......」  このゲームを初めてプレイした時の気持ちが蘇る。バトルに勝つことに夢中だったので、いつの間にか忘れ去ってしまっていた感覚だ。  どれだけカメラアングルを操作しても見ることの出来ない死角ががあることに、改めて気付く。    心の死角だ。然し、関心してばかりはいられない。  「え?」  ちゃまるさんが召喚したのは、一羽のみならず、二羽、三羽と数を増やしていく。最終的には千羽くらいにまで強化出来そうな千羽鶴だ。  かれは思わぬ合体呪文に出る。  召喚した折り鶴を地上に下ろし、タクトさんとカオルさんを背に乗せると、みんとさんと、ともちさんに突撃させる。 それを皮切りに異名覚醒したともちさんは、空から急襲してくる折り鶴三羽の真ん中に突っ込んでいくっ! 頭にカチューシャとミニスカをギンガムチェックに着替えた姿が、装備したハートの盾とスペードの剣とよく似合う。
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