暗殺者が仲間になった

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 「すまんすまん、悪かったわ。あそこでタッチされるとは思わんかったけ」  掲示板では、みんとさんがメンバーに昨日のバトルの件で謝罪している。ケモミミのひとがこんな台詞言うと思うと不思議だけど。  「勝ったのは良いとして、あたしらの出番がなくなったじゃない。久しぶりの対戦相手に熱くなったんじゃないの?」  ともちさんは、控えのメンバーが出られなかったことに苦情を言っている。実際、ともちさんがどんなキャラなのかは掲示板の文章からだと分かりにくい。  「タイミングが絶妙だったから、かなり焦っとった。えくれあさんに何か考えがあってそうしたんかも知れんなと思うんぢゃが」  みんとさんは勘づいていたみたい。  あそこでのストイックな呪文攻撃は焦ってたの? そうは思えなかったけれど......  「ありがとうございます。あのタイミングでタッチすれば、影も一緒に消えると思ったので、試してみました」  「それ、ソロプレイヤーの発想じゃないよね。試したのが入団したばかりのギルドのリーダーってすごいことしてるし。どこのギルドにいたの?」  「ずっとソロでしたよ」  私がそう言った途端、掲示板に誰もコメントしなくなったが、少し間を空けてともちさんが叫ぶ。  「ええええええっ!?」  「すごい新人が入って来たもんじゃ。まあ、ギルドバトル初戦から良い戦いしちょったけん、ソロで鍛えられたんもあるんじゃろう。ダウンロードしたばかりの頃を思い出すわ」  みんとさんにも、ソロプレイで苦労した経験があったんだ。  「努力するしかなかったもんね、今の呪文が使えるようになるまで、何回も呪文買い替えてやっと駆使できるようにのにも、何度戦いまくったことか......」  「呪文がレベルアップした時はめちゃくちゃ嬉しいけど、スペルスリーの分岐に悩むんよね」  「スペルスリー?」  聞き慣れない言葉が出て来たので、みんとさんに訊いた。  「レベルが上がった時に、呪文の効果をどう成長させるかをプレイヤーが決めることが出来るんじゃけどね、ぼくの場合だと、属性攻撃力のアップじゃがゆる姉は合体魔法の追加」  みんとさんは、こともなげに言うけれど、わたしにとっては驚きだ。ゆるきゃりさんのニケツの合体魔法は呪文のレベルアップで覚えたのか。 わたしのフレイムタンは、レベルアップするとどうなるんだろう。
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