暗殺者が仲間になった

5/20
前へ
/167ページ
次へ
 「私は移動範囲を増やすにしたよ」  3XKさんは、巨大魚の地上絵の移動範囲を増やすことにしたようだ。あれの移動範囲を拡張されたら対戦者は太刀打ち出来なくなるよ。  ......て、トリプルキラーはさっきわたし達みんときゃんでぃーずと対戦したギルドのメインアタッカーじゃないっ! ストールでグラフィックの大半を隠した謎めいた女性プレイヤーでもあるけれど。  そんなトリプルキラーがどうしてうちに?  「あんた、掲示板荒らしに来たの? それとも昨日のリベンジしに来たの?」  ともちさんのコメントが、ただならぬ殺気を放ち始めた。掲示板は早くも炎上の臭いを漂わせている。  「ギルドマスターのみんとさんに頼みがあるんだけど、いい?」  「やれやれモテる男は辛いね。頼みゆうて、なにを頼むんね?」  「私をこのギルドに加入させてくれない?」  「へ?」  あまりにも意外過ぎるトリプルキラーの頼みに、わたしは頓狂な声をあげてしまう。昨日の敵は今日の友ってあるけれど、所属していたフリーメイ村とうちを掛け持ちして大丈夫なの?  「うちの情報が目的なの?」  「あそことは、もうケジメを着けてきた。バトルで負けたから、使えない奴はいらないってギルドマスターから解雇されたのよ」  「解雇って、そんな」  バトルで負けて使えないからって理由だけでギルドから追放されるって、どういうこと? フリーメイ村ってそんな厳しいギルドだったの?  「だからうちを選んだのか、なんだか、かわいそう。みんと入れてあげようよ」  ともちさんは、そう言ってみんとさんを促した。  「そう言うことか、頼みを聞くもなにも、掲示板にコメントした段階で既に仲間に加わったようなもんじゃが、一つだけ約束して欲しい」  「わかった!」  「うちとフリーメイ村の情報をどちらも口外しないこと、それだけは守ってね」
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加