暗殺者が仲間になった

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 「サンデリテ!」  わたしは、対戦マップの名前を叫んだ。  煉瓦の床が土埃を撒きながら、ズンと隆起してえくれあを下から持ち上げて、ともちさんと同じ高さになった。 まるで、地形そのものが意志を持ち、わたしの呼び掛けに応じるかのように肉声に反応した。不思議な感動が込み上げて来る。  「すごい、マップが、リアルに動いた」  ともちさんは、このゲームには"地の利を活かした戦い方"もあると言うことを、教えてくれていたの?  「アイハバ、ペン!」  わたしと同じ高さになったにも関わらず、ともちさんは呪文の詠唱をつづけ、スペードソードで斬りかかって来る。 この状況で、もう一度マップの名前を呼べば、今よりもう一段高い所に煉瓦の塊を持ち上げて回避することが出来るんだろうか。今度はこちらから立体戦法を仕掛けてやるっ!  「サンデリテ!」  そう叫ぶと、わたしを持ち上げていた煉瓦の塊は作戦とは裏腹にマップの地面にズルリと戻ってしまう。  「嘘っ? サンデリテお願い、えくれあを持ち上げてともちにカウンターさせて!」  慌ててマップに再三呼び掛ける。
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