暗殺者が仲間になった

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 「ノムノムノム、ノームノム!」  わたしとともちさんの練習を静観していた15大福さんが初めて呪文を詠唱する。 カラフルな装飾品が付いた、インドの民族衣装サリーを身に纏い、そこからはみ出た赤毛で片目を隠した、なんともエキゾチックな出で立ちの15大福さん。 紫色のスペルを等身大のマトリョーシカに変えてわたしが転がったポイントに向かわせた。  「どうすりゃいいの、こいつら」  一個だけなら可愛らしいマトリョーシカも、流石に五個いると怖いよ。 マトリョーシカたち一個一個と渡り合うわけにはいかなそうだ。ここは、この人形を操っている15大福さんを直接攻撃するしかないみたい。彼女に接近してカウンターだ。  「いちごだいふ......」  "く"と叫び終わる間もなく、15大福さんの放つマトリョーシカ軍団はわたしを取り囲むと、30、30、30とちまちま地味にダメージを与えて来る。 一個一個の攻撃力はたいした事ないけど、流石に五回も連続で喰らうと体力がもたないよっ!  それでも、分かった事が一つある。  昨日のバトルでこの二人が控えになった理由は、みんときゃんでぃーずの主戦力だから、いざと言う時に逆転出来るように控えに選ばれたんだ。  関心するのは掲示板で。  15大福さんにカウンターしないと。  「いちごだいふくっ!」  わたしがそう叫ぶと、えくれあはフレイムタンを構え、人形軍団の隙間を縫うようにダッシュした。 15大福さんはマトリョーシカの群れを巧みに操り、わたしのカウンターを妨害すると言うカウンター返しを命じて来た。 主の命令に忠実に動くマトリョーシカたちは、サイドから一個が飛びかかって来るが、こちらもそれをかわしてのカウンター返しに出る。すると別の方向からもマトリョーシカが飛びかかってくるので、それも回避っ!  なかなか術者に辿り着けない。
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