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「マジマチロ」
ぼったーさんは、体力が半分になったえくれあに最後の一撃を見舞うべく、呪文を唱え宙に舞う文字を短剣に変えると、阿修羅像に装備させた。
相討ち覚悟でこちらも詠唱するか、カウンターを狙うか迷うけど、相討ちでの勝利は勝利数にカウントされないし、カウンターに更なるカウンターを仕掛けて来そうな気がする。
わたしのような一般プレイヤーとは違い、このゲームを作った人たちだ。このゲームアプリのことはわたし以上に知っている。
だから、1から初めてもこんなにプレイが巧いわけだ。納得っ!
してどうするっ?
「えくれあ、来るよっ!」
わたしは、ぼったーさんの阿修羅刀をトーテムポールの剣でブロックすることを選んだ。ひときわ鋭い金属音をたてて二つの呪文がぶつかる。
呪文を詠唱し続ければ、ぼったーさんだって噛むに違いない。
その隙に出来るだけダメージを稼いで追い込むと言うのがわたしの作戦だ。
「ウシカジヤ!」
ぼったーさんは、ブロックの体勢をとるえくれあに呪文でごり押しを仕掛けて来る。
「チェドラゴ」
呪文を噛む気配が一向にないっ! なんで?
「フリーワード生成システム」はプレイヤーはなにが呪文のスペルになるのか、先に知ることは出来ない筈なのに、どうして噛まずに詠唱出来るの?
このままだとスマホのバッテリーが先にきれて、バトルから離脱した私が敗北になってしまう。
そんな敗けかただけは絶対にしたくないっ! どうせ敗けるなら、せめて一太刀浴びせてからじゃないと。
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