ギルドランク圏外のギルド

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 「早く噛んでよ......」  反撃の隙を与えない魔法攻撃に、思わずそう呟くと阿修羅像のブロックをミスしてしまい、えくれあは頭上からの一閃を浴びてしまう。しかもクリティカルで400のダメージだ。 周囲に浮遊していた文字たちやトーテムポールの剣が画面から消えると同時に、えくれあは赤のフードを翻しながらマップの地面にどさりと倒れこむ。  これで何回目だろう。敗北画面を眺めるのは......  ゲームだと分かっていても、ついつい熱くなってしまうのは"マジックヴォイスの使い易くて中毒性の強い呪文"だったり"操作キャラクターを自分好みにカスタマイズできるアイテムが豊富にある"ことだったりする。 それに惹かれて、ログインボーナスで貰った200ジャム(ゲーム通貨)からオフショルダーの白シャツと短パンに赤のフード、それから金のイヤリングを買い揃えて所持金は10ジャムでプレイを始めた。 呪文のロールを買うにもジャムがいるから、ログインボーナスのトーテムポールでずっとやって来た。  上下ビキニ一丁でプレイするわけにはいかないからね。  少し疲れて来たな。ラボ画面に戻って黒ネコのチョコに癒されよう。 バトル画面からラボに戻ると、ぼったーさんからメッセージが届いているのが通知されていた。  「えくれあさん、バトルのお相手ありがとうございました。ナイスファイトでしたよ! ギルドに加入すると、更にバトルが楽しくなりますので、お勧めします。えくれあさんからは、運営になにかご意見はありますか?」  ナイスファイト、と呼べるかどうかは兎も角......  ぼったーさんは、こうしてユーザーの意見を訊いて回っているひとなのか。唐突にご意見下さいと言われても。  「ええと。こちらこそ、ありがとうございます。わたしは戦績が悪いんですが、強くなれそうなギルドってありますか?」  「入れば強くなれるギルド。ギルドランキング上位のギルドなら幾つかあります、しかしながらこのゲームはギルドシステム自体が操作キャラクターを強化するので"このギルドがいい"と一概には言えません」  
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