激レアさんが現れた

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 「榎本さん、最近何か良いことあった?」  バイト中、先輩が訊ねて来た。  「良いこと、ですか?」  昨日のバトルでの激戦からの、みんとさんの突然のギルドマスター引退表明が、気になったのもあるけれど、異名を獲得してまた一つ強くなったのは良いことだと思う。 良いことは今朝も起きた。アベノ生命の採用が決まったと保険会社から連絡があった。正式に入社するのは明日からだけど、長かった終活氷河期もようやく終わりが来て一段落だよ。  「彼氏出来たとか?」  「いませんよっ!」  「本当に? 最近ウキウキしてるし、前よりお洒落になってるじゃん。ひょっとして誰か好きな人でも出来たんじゃないの?」  「そんなんじゃないですって、就職が決まったんですよ」  あまりにもしつこいので、就職が決まったことを喋ってしまった。  「榎本さん、ついにうちの正社員に?」  「そっちの就職じゃなくて、アベノ生命に入社するんです」  「まったりまたみちがコマーシャルしてるあそこ? マジで?」  先輩は驚きつつも、ショックを隠しきれない表情をした。 わたしがアベノ生命に入社するのがそんなに以外だったのか、マックからいなくなるのが寂しいのか分からないけど、確かに漫才のような店員同士のコンビネーションはもう出来ないのは寂しくなるかも。  「おめでとうっ! すごいじゃない榎本さん」  「ありがとうございます」  「それでお洒落してた訳か、普段着ないグランチェックのカーディガンにニット、それにショールのスカート履いて来るからあたし驚いちゃったわよ」  「そ、そうですか?」  家のものの有り合わせなんだけど、お洒落をしたように見えたらしい。
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