激レアさんが現れた

3/32
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
 「何時からアベノ生命に行くの?」  「明日です。あ、いらっしゃいませっ!」  お客さんが来たので、注文を承る。  「フィレオ一つと、ポテトのM、ジンジャーエールのL頼めるか?」  詰め襟のシャツにネイビーのスーツを来たサラリーマンがレジにやって来た。注文しながらスマートフォンを眺めている。  「畏まりました。850円になります。フィレオ1、ポテトM1、ジンジャーエールL1プリーズ!」  レジ裏のスタッフたちに指示を出す。  「養育費の仕送りがまだだってそう急かすなよ。こっちは友子の小遣いまで仕送りしてんだから、あ。申し訳ない」  スーツの男性客は家庭の事情を愚痴りながら、革の財布から850円きっちり取り出すと、トレイの上に置いた。 お札で済ませる人って多いけど、細かいの出してくれる人ってレジ的には助かるんだよね。  「ありがとうございます、2番の札でお待ち下さい」  メニューが出来るまでの間、2番のプレートを渡して待って貰う。  「榎本さんなら、アベノ生命でも大丈夫よ。応援してるから頑張ってね」  先輩は小さくガッツポーズをとり、わたしを励ましてくれた。頑張ってと肉声で言われたけど、改めてわたしのことを応援してくれているのが実感出来る。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!