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「何時からアベノ生命に行くの?」
「明日です。あ、いらっしゃいませっ!」
お客さんが来たので、注文を承る。
「フィレオ一つと、ポテトのM、ジンジャーエールのL頼めるか?」
詰め襟のシャツにネイビーのスーツを来たサラリーマンがレジにやって来た。注文しながらスマートフォンを眺めている。
「畏まりました。850円になります。フィレオ1、ポテトM1、ジンジャーエールL1プリーズ!」
レジ裏のスタッフたちに指示を出す。
「養育費の仕送りがまだだってそう急かすなよ。こっちは友子の小遣いまで仕送りしてんだから、あ。申し訳ない」
スーツの男性客は家庭の事情を愚痴りながら、革の財布から850円きっちり取り出すと、トレイの上に置いた。
お札で済ませる人って多いけど、細かいの出してくれる人ってレジ的には助かるんだよね。
「ありがとうございます、2番の札でお待ち下さい」
メニューが出来るまでの間、2番のプレートを渡して待って貰う。
「榎本さんなら、アベノ生命でも大丈夫よ。応援してるから頑張ってね」
先輩は小さくガッツポーズをとり、わたしを励ましてくれた。頑張ってと肉声で言われたけど、改めてわたしのことを応援してくれているのが実感出来る。
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