48人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
これでもう一度あさむねさんと、二刀流の合体魔法で戦える。
そう思っていた矢先、みんとさんが不意にタッチして他のメンバーと入れ替わった。このタイミングでタッチって、わたしフレイムタンだけであさむねさんと張り合うなんて無理だよっ!
ここはまだ吸血していないタクトさんに距離を詰めてダメージを与えるしかないか。
「タクトさん、いきますっ!」
ターゲットを変更し、タクトさんに方向転換すると、呪文の続きを唱える。
「ナンナン、ナンナン......」
振りかざしたフレイムタンがタクトさんに当たる寸前、タクトさんもまさかのタッチで他のプレイヤーと交替した。
的を失ったフレイムタンの一閃は、空振りに終わりえくれあの体が宙を泳ぐ。
背後にはグレイのカットソーワンピースに、フリンジの付いたショールを被せた黒のポニーテールの女性プレイヤー"カオル"さんだ。
こんなカウンターの仕方があったなんて。迂闊だった......
「えくれあ、来るわよっ!」
「ナカマードア!」
わたしがブロックの声をかけると同時に、カオルさんが呪文を詠唱する。しゃぼん玉のように周囲を漂うスペルたちは、彼女の手に集まると、そこから龍の姿になってえくれあに頭上から襲い掛かってくる。
ブロックが間に合い、ドラゴンの一噛みを凌いだけれど、この手の呪文は初めて見た。
最初のコメントを投稿しよう!