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先生、うーん、と考えて。
「じゃあ、黒板の前に」
北原くんは首を傾げながらも黒板の前に来た。
うわ~、至近距離だ、と思ったらあたし、ちょっとドキドキしちゃった。
起立、礼、のあと、先生は問題を黒板に書き出した。
そして「北原、これを解け」と強い口調。
ああ、気の毒。
「えええええ~~~」と北原くん、のけ反っちゃった。
仕方なく先生からチョークを受け取り、北原くんの悪戦苦闘がはじまった。
後ろからクスクス笑う声が聞こえる。
「誰だ、北原を笑ってるのは。いいか、みんなも解けよ」
んんんんん~。
前方から北原くんの唸り声がしている。頭かいている。
「y=ax(2)―2apx」
あたしは小声でヒントを言ってみた。
「え? な、何? 何? もっかい言って」
北原くんが耳をあたしの方に向けた。
あたしはもう一度言った。「ワイ、イコール、エーエックス二乗マイナス…」
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