1. いいよ。デートしようか。

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番宣のためにテレビ局に来ていたが、散々待たされた挙句、メインの大物司会者が前の番組の収録が長引いてるとかで、開始があと1時間遅れると聞かされた。楽屋にいるのにも飽きて、コーヒーでも飲もうかとフラフラ歩いていた時だった。 「遼さん?」 声をかけられて振り返ればそこには知り合いの女の子。 「あれ?栞ちゃん?」 最初に会ったのはマリアに再会するちょっと前、彼女の18歳の誕生パーティーだった。 とあるコマーシャルにCRANKが出させてもらって暫くした頃、その会社の風間社長の姪が俺の大ファンということで、彼女の誕生日パーティーへの出席を依頼された。 事務所を通したスポンサーからの頼みとあればこれも仕事のうちと割り切り、いそいそと指定された会場へ沙紀が用意してくれたプレゼントを持って出掛けた。 親しい知り合いだけを呼ぶ小さなパーティーだからと聞いていたが、ホテルの宴会場を貸し切って行われたそれは意外と大きな規模で女子高生の誕生日でこんなかよ。金持ちはやることが違うなと驚いた。
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