嘉永三年 冬

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『あ!時雨!!それは俺のだ!!』 『ちがいまーす!!これはわたしのですっ!なまえかいてありました~?』 『くっそう!!お前食べ過ぎだ!!』 『そんなことはないですよ!!おそい方がわるいんです!!』 『まだ、ありますから。喧嘩しないでくださいっ。』 むう。八郎がそう言うならしょうがない。今回は見逃してやろうかなっ。 『だとよ。八郎はえらいなぁ。』 『そんなことないですよ。』 周助さんに誉められて八郎、嬉しそう。 『では、あにでしどの。こちら、やまぶきいろのかしでございます。おくちにあえばよろしいのですが。ど~ぞ、ごしょうみください。』 と、新しく皿に乗せたお餅に醤油を塗り兄弟子に差し出した。 『な、何だよ時雨!!いきなり。』 『え?しらないの?あくだいかんごっこ。』 お主も悪よのう。って言わないとだめじゃん。 『ねぇ。しぐれ?それって、だれがあくだいかん?』 『おい!!まさか、俺が悪代官だってのかっ!!』 『あーあー。はくがよけいなこというから~。』 ニィッと笑うと兄弟子が悔しそうに立ち上がった。 『このやろっ!!』 『うるせーぃ!!外でやれぃッ!!!!』 『『えっ!!』ぎゃふっ!!』 掴み合いになりそうな所を周助さんがポイッと外に投げた。 雪が積もってて痛くないけど、痛くないけど、 『つめたーい!!せなかにはいったぁ!!さむい!!』 慌てて縁側に這い上がると再び!ポイッ!! 『つめたーい!!しゅうすけさん!!ひどい!』 『うるせー!!兄弟子をおちょくってる暇があんなら、ちょっくら外で走ってこい!!』 えぇー。寒いのやだ!!おもちは!? 『しゅうすけさん、おもしろすぎるっ!!おじいちゃんなのにつよすぎるよね。しぐれたちをなげるとかっ!あははははッ!』 あ、周助さんの目が。 ペイッ!! 『つめたっ!!』 白蓮ちゃーん。いらっしゃいっ。
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