嘉永三年 冬

9/9
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
八郎は少し苦笑して、首を傾げた。 『さあ、もう中へ入りましょう?鼻まで真っ赤ですよ?』 『でも、しゅーすけさんおこってないかな?』 『大丈夫ですよ。あの後、戻ってきたおふでさんに『なんて事をするんですかっ!雪が積もっていなかったら怪我をしてましたよっ!!』って怒られてましたから。』 あぁ。怒られてる周助さんが目に浮かぶよ。 『はくー。もう中に入ろう?』 『えー。あとすこしでほんものの雪だるまできるのに!?』 本物のって何よ!? 『げっ!!はく!!これ、さつじんじけ『じけんじゃないから!!』ん。』 兄弟子が雪山の中に顔だけ出して埋ってました。 『だ、大丈夫ですか?』 『おー。そー見えるかぁ!!こら!?』 あ、元気そうだな。 『どーしてこうなったの?』 『あはははは!!きのしたに立ってたから上にゆきだまなげてやった!!』 あー。お可哀想に。 『同情すんな。余計辛くなる。』 『寒くないですか?すごいですねっ!!』 八郎!?いや、寒いよね!!したくて雪だるまになったわけじゃないよね!? 『はく?そろそろ出してあげようよ。』 唇の色青いよ? 『しょうがないなぁ。せいっ!!』 『はくぅ!?』 『白くんっ!?』 白蓮は本物の雪だるまに蹴りを入れた。 そして、無事に?生還した兄弟子は勇さんにお風呂へと運ばれました。 その夜────── 『へーーぃっくしょーーーーん!!』 『うぇぇぇえ。さむい~。あつい~。おみずぅ~。あたまいたいぃ~。』 仲良く風邪を引きました。 『わりかったな。放り出して、ほら、[石田散薬]飲んどけ。』 『あなたっ!!子供に何を飲ませようとしてるんですかっ!!』 『いや、薬をだな。』 『あーなーたーー!!』 『すまん。』 周助さん。ゆっくり寝させて下さい。 そしてまだ、お酒は飲めません。 おやすみなさい。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!