序章「終わり、そして始まる」

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俺がパワフル学園大学に入って二年目。 「君はプロでも通用する」と高校の時に言われた言葉を信じ、俺は努力を重ねてきた。 ……そして、投手としての腕を買われ、二年の身でありながら最大の大会である神宮大会で先発としてマウンドに上がった。 光栄な事だ。なにせ、先輩たちの晴れ舞台で肩を並べられるのだから。 やらなければと、チームの為に抑えねばと、俺はあの時全力を出した。 ……だが。 「――――ゲームセット」 ……160キロのストレート。 俺が投げられる最高の球。 外角低めいっぱいのその投球は、無情にもスタンドに叩き込まれた。 観客の喧騒も、先輩の声も、試合の終了を告げる審判の声も、その時の俺には何も聞こえていなかった。 自分の頬を伝う気持ち悪い脂汗の感覚が鮮明に感じられて、喧しい耳鳴りだけが響いていた。 「……お前のせいじゃない。……気にするな」 最後に、何かが聴こえた気がしたが……それも分からなかった。 俺はこの日から、マウンドに立つのが怖くなった。 そう、言うなれば……俺の中で何かが終わった。 そんな中、一年後の春。 硬直状態にあった俺の大学野球生活が、再び動き出すことになる。
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