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それから週に二、三回顔を出すようになった美咲。
気付いてたかどうかは知らないけど、値段を安くしたり、サービスで何かを出すようになった俺。
自分からはペラペラ話さないけど、俺が聞いたことはほとんどはぐらかさないで答える美咲は、なんだか妹みたいで可愛かった。
「なんか今日はご機嫌だな」
「ご機嫌に見えます?」
「見えるけど」
「なんか嫌だなぁ・・・・・・」
「なんで?」
「いや、昨日会ったんですよ。例の彼と」
「やっぱご機嫌じゃん」
「それでご機嫌なんて、私が馬鹿みたいじゃないですか」
「美咲にも、そういうプライドあるんだ?」
「ありますよ、人のこと何だと思ってるんですか」
ちょっとムッとしたように、でも笑った美咲。
面白い。
「そうだ、この後俊太とカラオケ行くけど来る?」
「私もいいんですか?」
「うん、来なよ」
「じゃあ、お邪魔します」
「タケさーん」
カナに呼ばれてヒヤッとした俺。
カナに聞こえちゃったかな。
本当は誘ってやるべきなんだろうけど、なかなかそういう気分になれない。
「ちょっと行ってくる、ごめんな」
話の途中だったからそう言うと、美咲は「お仕事なんだから謝らないでください」と笑った。
そういう所がすごく可愛い。
ただ、もうちょっと、寂しそうにしてくれてもいいんだけど。
「タケさん、今日は?」
カナが「どこか連れてってください」と言い出した。
「今日は約束あるから、ごめんな」
カナに会話は聞こえてなかったらしい。
ほっとした反面、そうあからさまに悲しそうにされると、まるで俺が悪いことをしたような気分になる。
ここは誘っといた方が良いのかーー
でもあんまり、その気もないのに誘ったりするのもな。
「タケさんっていつも忙しいですよね」
「まぁ付き合いとか色々と」
「ねぇ、あの子もタケさん狙い?」
「あの子も」とか、どうしてカナは直球に物事を聞いてくるんだろう。
イコール「私も」だという事に自分できづいてないんだろうか。
「あの子って」って言い換えるだけで、全然意味が変わってくるのに。
「俺狙いの子なんて居ないよ」
あくまでカナの気持ちには気付かないフリをしてたのに、「私、私!」とカナははしゃいだ。
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