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「マコ、こんな所で寝ていたら風邪を引くわよ。」
聞き覚えのある優しい声にマコは寝起きの目をこすって声のする方へ振り向いた。
すると、そこにはなんと、亡くなったはずの母君が笑顔で立っていたのじゃ。
「あ…あ…お母…さん…?」
マコの目から大粒の涙が溢れ出した。
母君が亡くなってからずっと、強がって堪えていたものがマコの胸に沸き上がって来たのじゃ。
「お母…お母さーん!」
マコは母君の胸に飛び込み、すがり付くように泣いたそうな。
「あらあら、マコ。どうしたのかしら?いい子にしていたのに突然泣き出したりして。」
「おがあさ…ひっく…お母さん!あたじ…お母さんがいなくなってからずっと…ずっと…カレーも毎週作ったよ…!ひっく…あの時と同じ…3人分…作ったよ…!」
母君はマコの体を抱きながら頭を優しく撫でた。
「ごめんなさいね。あなたには寂しい思いをさせてしまって。今日はカレーの日だったわね。さあ、作りましょう。でも火の付けっぱなしはだめよ?」
マコが鍋に目をやると、付けっぱなしだったはずの火は消えていた。
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