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カレーを食べ終わった儂らは予定通り、マコの家の二階から夏祭りの花火を見ておった。
カレーの味は、そうじゃのう、今までマコが作ったものとはまるで違う、優しい味がしたのう。
「花火、きれいだね。」
「マコ、なぜこの時期に花火をするか知っておるか?」
「ううん、知らない。」
「あれは亡くなった者へ贈る花だそうじゃ。鎮魂の儀式のようなものじゃのう。じゃから亡き者の霊が現世に戻るとされる、お盆のこの時期に多く行われておる。母君も帰ってきておったのじゃろう。きっとお主の会った母君は夢ではなかろうよ。」
マコは花火を見たまま上を向いて、無言で儂に背中を向けておった。
儂からマコの顔は見えんが、どんな顔をしておるのか想像に固くないのう。
「花火、母君も見てくれておると良いのう。」
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