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花火も終わり、一通り菓子も食べ終わった頃じゃ。
「ただいま!マコ。今帰ったよ。」
「お父さん!お父さんが帰ってきた!」
マコは部屋を駆け出し、階段を下り、父君を出迎えに玄関へ。
「お父さん!おかえり!あのね、今、お母さんがね…」
下の階でマコと父君の話し声がする。よくは聴こえんかったが、これは聴くだけ野暮じゃな。
「…これは…母さんの味だ。どうして…」
儂らの食べた残りのカレーを口にした父君は、その味に目を丸くして驚いておった。
「お母さんがね、来てくれたんだ。作り方も教えてもらったよ。また…カレーの日に…ひっく…みんなで…うわぁーん!」
「マコ!マコ、すまなかった。父さん、カレーの日には帰るように頑張るから!だからまた一緒に食べよう。母さんのカレーを。これで三人一緒だ。」
「うん…ひっく…ひっく…」
その時、マコと父君以外にもうひとつ、温かくて優しい何者かの気配を感じたのは、儂だけだったのかのう?
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