第4話 晩夏の鎮魂花

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花火というのはの、夏の風物詩ではあるが、なにも恋人達の語らいのためにあるのではないのじゃ。 もちろん、そうした楽しみ方も良いがのう。 本来は亡くなった者の魂を慰める鎮魂の儀式なのじゃよ。 お盆には、死者があの世から現世に帰って来ておるらしい。 ただ、そうした考え方も人それぞれじゃろうな。 大切な人を亡くせば、消えてしまったとするより、『あの世』という所で今も暮らしていると考えた方が、生きている人間にとっていくらか救いじゃからのう。 『あの世』というのは死者の都なのか、はたまた生きている人間のための救いの偶像なのか。 確かめる術はないがのう。 マコは今回たまたま異界に迷い込み、母君に会うことができた。 お主も、かつて大切に思い、今は失われたあの笑顔に会ってみたくはないかのう? 彼らの魂が現世に帰る、その僅かな時間に、かの思い出を辿れば会えるかも知れんぞ。 異界では現実の概念を超越した出来事が起こる。それが夢か現か、何者なのか、お主次第じゃがのう。 ホレ、もうすぐ花火が上がる頃合いじゃて。 どこかの誰かに届くと良いのう。
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