第5話 氏神の笛音

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昔は今のように冷房機など普及しておらなんだからな。暑ければ窓を開けて自然の風でしのいでおった。 もっとも、今のように猛暑となる日も少なかったがのう。 窓を開けておるだけで随分と涼しくなったものじゃて。 ただ時折、深夜に遠くから何かしらの音が聴こえてくるのじゃ。 最初は少し気味が悪かったが、じきに慣れてしもうた。 その多くは笛の音に聴こえたのう。 そしてその笛の音が聴こえた翌日には、決まって悪いことが起きた。 どこが火事になったとか事故が起きたとかじゃな。 偶然かと思っておったが、儂がその因果を知ったのは、マコの家に泊まりに行った日じゃった。
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