プロローグ

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 平日は最悪。高校は7限まで、部活入ってないけれども特にやることなし。  帰りにカラオケ行っても楽しくない……音痴だから。  友達が居ないわけじゃない、ただ遊んでくれないだけ。  高校になった途端、友達は彼氏とデートとか、いっそ『部活が恋人』なんて練習にすっ飛んでいくものだから。私のこと、構えやおらぁ! なんて言いたいのに言えない。ヤマトナデシコだから。  部活入っときゃよかったとか後悔しても無駄なのだ。仮入部の時、それを思い知った。  運動音痴がたたって、テニス部でラケットごと投げて、近隣住宅の庭に落下させた……出禁になった。  音痴なのがたたって、吹奏楽部で二時間練習してもサックスのマウスピースが吹けなかった……茶道部をおすすめされた。  頼みの綱の茶道部は某アニメの軽音楽部みたいに放課後に茶会するだけというシンプルなつくりだったが、正座が出来ない私は、5分で足がしびれた……さすがに同情された。  他にも頑張った。軽音楽部……ギター弾いたら弦が数本切れドラム叩いたら皮が破けた。パソコン研究会……バグって一台壊した。読書研究会……数行読んだら眠くなる。料理研究会……ミキサー大破。等エトセトラ。   いっそ生徒会にでも入ろうと思ったが、さすがに私の知名度がなくて当選しなかった。  誰も部活勧誘してくれない、というかいつの間にか『ブレイカー』なんて異名がついた。そこに格好の良さなど無く、家で電気を使い過ぎると落ちるあのレバーみたいなものの意味しかない。いや、きっとあっちのほうが私なんかより役に立っているのだろう。    ――そんな私に、彼氏が出来た。
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