0人が本棚に入れています
本棚に追加
金田さんはパソコン研究会の会長さんで高校二年生。
え、何故私の先輩にあたる金田さんが、私なんかと付き合っているかって?
んなもん、こっちが聞きたいわ。
始まりは4月の終わりのことだ。
私の教室に金田さんがやってきた。
人づてに私を呼び出した先輩は私を廊下まで連れだしてきた。
いやあ、もう私は心臓止まるかと思った。見覚えがあるどころじゃなかった。つい先日仮入部し、パソコン一台壊したあのパソコン研究会の人だと直ぐ分かった。
しかも、彼は胸はって、なんか偉そうだよ?
もしやこれ、弁償しろっていう空気じゃない?
「――弁償しろ」ほれきた。
私は何も悪いことはしていない。
パソコンの電源入れてブラウザを開いただけだ。
で、PC本体から煙出してしまった新入生、それが私なのだから。
しかも私の壊したパソコンは学校所有の演習用のではなく、研究会所有のものなのだから、当然だ。
一体、一台いくら掛かるのだろう。
しかし、金田さんは予想外の言葉を続けた。
「と、言いたいところなのだがな。君が壊したタイプはうちで一番古い機種でな、サポートも切れかけていてな、どのみち買い換えようと思っていた所だ」
開いた口がふさがらない。え、それって。
「ちょうど部の予算申請も通ったところでな、資金には困っていない」
天使が金を鳴らす。
「ホントですか!?」
なんて幸運なのだろう。さすがに数十万の失費は覚悟していたので、安堵した。
最初のコメントを投稿しよう!