第1章:人々の娯楽

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専用のゴーグルを被るだけで、目の前にはバーチャルな世界が広がり、仮想の世界をあたかも現実のように体験することが出来る。 それは目の前の画面に限ったことだけではなく、 頭の向きを変えれば、それに合わせた風景が連動して映像がリアルタイムで映し出される。 最後にヘッドホンを装備するれば、現実世界との遮断。 バーチャルな世界は作られる。 「あの、今日はKKのアイドル、レミちゃんの楽屋の中を体験したいんですけど」 「かしこまりました、何時間コースに致しますか?」 「2時間で」 「はい、2時間で5000円になります」 バーチャルリアリティーの機械と環境が整っているこの店の来客数は増え続ける一方だ。 人々はそれぞれの目的で、癒しを求め、快楽を求め、娯楽を求め、現実世界から逃避しようとしているのだ――。
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