万屋

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「いらっしゃい」 少し高めの声が響く。 今日来たお客はどうやら初めてらしい。 なんとまぁ幾何怪な顔をしている。 しかし、それが一般的な反応だろう。 店員の声は女子の様だけれど声変わり前の男子の様にも思える。 顔だちは美しい。 どこか印象に残る不思議な綺麗さがあって 女か男か判断しがたい。 だが、髪は短く女子ではないのかと思わせ 、かと言い髷もないし格好も袴だ。 少し崩している胸元にはほんの色気が漂っている。 ちなみにこの者は店主ではない。 つまりのところ、男か女か判断がつかない 。それが原因だと思う。
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