後悔しても手遅れです(改稿版)

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 状況確認が終わって顔をもとの位置に戻すと、今度は至近距離に久志の顔があり、夏樹はぎゃっと奇声を上げて布団の中に潜り込んだ。 「うわあっ!」  今度は布団の中から夏樹の叫び声が上がる。 「夏樹? 大丈夫か?」 「ひっ、ひっ、ひさ……な、何で……俺、はだか……っ?」 「ああ、昨夜はかなり汚してしまったからな。脱がせたが?」 「――――は?」  布団の中から夏樹がそろそろと顔を出した。 「何回出したかな。途中までは数えていたんだが」 「は? え? あの、出すって……」  聞かない方がいいと、どこかで警鐘が鳴っている。  だが、夏樹は恐る恐る久志に尋ねた。 「えっと、久志さん……俺、何か汚すようなものを出したんですか?」 「うん? ああ。そうだな」  言いながら、久志が夏樹の頭を撫でる。 「君は理央くんから後ろに薬を入れられたと言っていたが、恐らく腸からダイレクトに薬の成分を吸収してしまったのだろう。普段より興奮してしていたようだね。私が手で君のものを擦って、出すのを手伝ったのだが……大丈夫か? 君から求められるまま、明け方まで擦り続けたから……腫れてるんじゃないか?」 「腫れ――え?」 「だから、ここが」  久志の言ったことを頭の中で整理するために、夏樹の動きが止まる。  その一瞬をついて、久志がおもむろに夏樹のくるまっている布団を捲った。 「先の方が少し赤くなっているか? これは用を足す時に痛むかもしれないな」 「…………」 「薬を塗った方が良いかもしれない――ちょっと待っていなさい。薬を持ってこよう」 「…………」  どう反応すればいいのか分からず夏樹が固まっている間に、久志は夏樹の足の付け根のものを検分し、薬を取りに寝室を出ていってしまった。  ベッドに横たわり、久志が出ていったドアの方を夏樹が呆然と見つめる。  しばらくして、ようやく頭の中が働き始め、夏樹はゆっくりと自分の股間へ視線を移した。  なるほど、確かに先端の敏感な部分が普段よりやや赤みがかっている。 (明け方まで? 俺が求めた? 久志さんに……?) 「~~~~~~っ!」  理央に薬を入れられた後、夏樹には途中からの記憶がない。自分の記憶にない間の出来事を察した夏樹は、声にならない悲鳴をあげるとベッドの隅で頭から布団を被った。 (何、どういうこと? 俺のを……久志さんがっ?)
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