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あたしの家では、一匹の大きな金魚を飼っている。デメキンの「デメ」だ。
パパが休日に、デメを瓶に移し、水槽を洗って、きれいな水の底には透明なガラスの石を敷き詰める。
ママは餌をやるのが日課になっている。
あたしの名前は「ララ」。デメの、赤くてきれいなウロコと長い尾びれを、水槽の前で、何となく見ながら時間を潰すの。
フワフワと揺れている尾びれを見ていると、時間を忘れてしまう。
ただ、デメの口はイヤ。
パックリと開けたときのまぁるい口。嫌い。
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、嫌がらせのように、デメは口をパクパクするの。イラつく。
いっそうのこと、デメを丸ごと食べちゃえば、あんな口、もう見なくて済むのに。
ああ、イライラし出すと止まらない。
あたし、水槽が壊れない程度に、バンバンと叩いてやった。
すると、ママに叱られて、余計イラついた。
それから、ずっと考えたの。デメに嫌がらせしてやろうって。
よし、パパとママがいない土曜の午後、決行だ。
そして当日、こっそりと洗剤入りの餌を作って、デメに食べさせた。
水槽から少し離れたところで、お昼ご飯を食べながら観察したけど、デメは普通に泳いでいる。
相変わらず、口をパクパクさせて、こちらを見てるの。
イラつく。
しばらくすると、その口から出た丸い気泡が、だんだん大きくなりながら上がっていき、水面から出て宙に舞った。
そのシャボン玉は、2つ、3つ、4つと続いた。
「プッ」
あの憎らしい口から、たくさんシャボン玉が出てくるの。
「キャハハハハ」
なのに無表情で、それがアホっぽくておもしろい。
「ヒャハハハハ」「ヒ―ヒ―」
あたしは、腹を抱えて大笑いした。
すると、頭の中に声が聞こえてきた。
『君、知ってるかい?』
ハッとして、気が付くと、部屋中シャボン玉だらけ。
これはまずい!ママが帰って来る前に何とかしなくちゃ!
大急ぎで、両手でシャボン玉を割っていると、また声がする。
『シャボン玉にも、突然変異があるんだ』
この声は何?誰の声?落ち着いていて、ゆっくり話す低い声。
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