第三章

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加害者側も救われない。法的責任はもちろんのこと、彼は一生、「人を殺した」という罪を背負って生きていかなくてはならない。僕は彼(彼女かもしれない。顔を見ていないのだ。)のことは全く知らない。別に知りたいこともないけど、被害者と加害者という立場になってしまった以上、もう無関係でもいられないだろう。 僕に彼を責める権利はないと思っている。なにせ僕は自分から飛び込んだのだ。たとえそれがどんな理由であれ。 彼は周囲からだけでなく、自分自身でさえ責めるだろう。もうそれ以上、どう責めろというのだ。どうしたって僕は生き返るわけじゃないし、ならばもう過ぎたことなのだ……と、思う僕は、甘いだろうか。 葉月も葬式に来てくれていた。しかし、彼女の顔はひどく動揺した様子だった。触れればすぐにでも崩れてしまいそうな危うさがあった。僕はそれがとてもつらかった。 数ある後悔のうち、それだけが大きく残ってしまった。だから、僕は幽霊としてこの世界に残されたのかもしれない。 「葉月ちゃん……来てくれて、ありがとうね」 母の言葉に、彼女は深く礼だけをしてこの場を去った。言葉はなかったが、彼女の思いは十分に伝わった気がした。 僕は何もできない。 僕がいなくなった世界で、またいつもの日常に戻るだけ。 しかし、葉月はどうなる? 彼女はこれまでと同じように戻れるのだろうか? 僕の足は自然と、彼女のほうへと進んでいた。
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