第三章

2/3
前へ
/14ページ
次へ
交通事故による突然の死だったので、葬儀に時間がかかるのではないかと思ったが、そんなことはなかった。いや、死んでしまった自分の葬儀を心配するなど、変なことだと思われそうだが、第一、自分が本当に死んでしまったのかのかも疑わしいと思えるほど、僕はあっけなく死んだ。 だからなのか、ごく自然に幽霊になった。今まで幽霊なんて信じていなかったが、こうなってしまったものは仕方がない。そもそも、この状態が本当に「幽霊」という状態なのかも疑わしい。なので、便宜上、幽霊ということにする。 他人の視点から自分を見るというはなかなか変な気分だ。しかし、僕が葬儀中に見た僕の姿は、今までの僕の姿とは、違っていた。 遺体の損傷が激しかった。多少の修復はしたのだろう。だがそれでも、元の姿になることはなかった。 こういう光景を見ると、やはり死因は寿命で死にたかったな、と思った。事故は悲惨だ。まさか自分がこうなるとは思わなかったが。 その中で滞りなく葬儀を執り行ってくれた両親には非常に感謝している。両親より先に死んでしまったことにはひどく申し訳ないと思った。本来ならば逆の立場であるはずである。まさか両親も息子の葬儀をすることになるとは思ってもいなかっただろう。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加