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「もう決めたの? どうするかさ」
僕たちは高校生活最後の夏、半年以上も先の進路を決めなければいけない状況に立たされていた。
もはや『半年しかない』といったほうが適切なのだろう。僕たち以外にも、今ごろは受験勉強にいそしむ高校三年生がわんさかいる。
僕たちはといえば、つい先ほどまで市営の図書館で勉強をしていた。いまはそこのロビーに置いてある自販機の近く、背の低い椅子に腰かけて休んでいるところだ。
ここは冷房が効いていて良い。ひとたび外に出れば、地獄のような暑さが待っているはずだ。
「うーん……とりあえず、大学だろ。それからはあんまり考えてないかな」
「どこの大学にするかって、なに? 勉強したいこと、見つかったの?」
「いや。まあ、葉月が行くところについて行くよ」
そういうと葉月はため息をついた。あきれている様子だった。
「目的もなしに大学を決めるって、なんか違うんじゃないかなあ……」
そう言って葉月は、自販機で買った缶ジュースをテーブルに置く。
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