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「ん。それじゃあわたしも帰ろうかな。一人で図書館いても暇だし」
葉月は缶ジュースを口につけ、大きく上を向いた。そして立ち上がり、空き缶を自販機の隣にあるごみ箱に捨てた。
葉月は少しだけ図書館出口のドアまで歩いてからこちらを向いた。僕も立ち上がり、葉月のほうへ向かった。
自動ドアが開く。その瞬間に僕たちの身体はむせかえるような熱気に覆われる。
「うわぁ~暑い~。早く帰ろう~」
熱を全身に浴びて、僕たちは顔をゆがめた。
ここらの地域は内陸で、さらに盆地である。この時期が暑くなるのはごく当然のことなのだが、今年はさらに暑い気がする
太陽からの直接の熱もそうだが、コンクリートから跳ね返ってくるそれも異常なものだった。あらゆる方向から襲ってくるので、僕たちはすぐにでも図書館に戻りたくなった。
「長いこといたら倒れるよこれ。そうだ、あっちの日陰」
僕はここから数メートル先、建物が日を遮っている方を指さした。
「早く行こう」
「うん」
そこまで行くのさえも、苦痛に感じられた。今日はいつにもまして熱い。今まで冷房に当たっていたからかもしれないが、そう思った。
「あ、でも、日陰だとそうでもないね。だいぶ涼しい」
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