あなたに会いたくて

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あなたに会いたくて

「この人だ!」 隣の席から笑い声が聞こえて初めて僕は 大きな声を出していたことに気が付いた。 慌てて口を塞いだ僕に、笑いをこらえながら その人は言った。 「いい相手が見つかったの?」 「はい。やっと家族になりたいと思える人が 見つかったんで嬉しくて」 ここには膨大な人数の情報が入ったパソコンが 何十台も並び皆ここで希望の相手を探している 「私も早く運命の一人をを見つけたいな。」 プロフィールから動画まで一人一人の情報量も多いので、見ていくだけでも大変だ。 いつまでに決めなくてはいけないということではないので、じっくりと探すことができるが、早く決められる人がやっぱり羨ましい 「じっくり探す方が見つかった時の喜びも大きいですよ」 「あなたみたいにね」 そう言って、さっきの大声を思い出したようにクスクス笑っている。 「あ、そうだ。ねぇ決め手は何だったの?」 僕も同じ質問を色んな人に投げ掛けた。 もちろん答えは千差万別で可愛いからや強そう、優しそうといったものから淋しそう、守ってあげたい、助けてあげたいなど本当に様々。 中には前世でも家族だった、恋人だったなどの異色な答えもあったが皆一様に選んだ相手に間違いないという自信に溢れていた 。
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