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「もしかして、会えなかった…とか?」
龍之介が
再度、美沙の顔を覗き込む。
「そうなの?」
「小湊さん、『 ピーちゃん 』には会えなかったんですか?」
無言の美沙の横で
「小湊。…そう、気にするな」
「…だって…ここは【 逢いたいヒトに会える 】村…じゃないの? なんで、わたしだけ……」
「それ、勘違いだよ。だって新聞にはーー」
圭一郎が口を開く。
「【あなたの逢いたいヒトに会えるかも知れない】って書いてあったでしょ? それって、いつでも逢いたいヒトに会えるとは限らない…って事なんじゃない?」
「それって…詐欺……」
その美沙の呟きは
聞こえたのか、聞こえなかったのか
彼らは
駅に向かって歩き始めた。
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