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パパが死んだ、、。ママからのいきなりのラインだ。
また~、、、と思って、既読スルーしてたら、いいから早く帰って来なさいってママからのガチメッセ。
どうやらマジらしい。でも実感はまるでない。わかった、と返事をして家に向かった。
でも、パパが本当に死んだのだろうか?今朝も妙に明るいテンションで
「なんちゅーか、ほん中華!」と分けのわからない事を言いながらカップラーメンをすすっていたし。
私は半信半疑で、家に帰る電車の中、ツイッターでパパの名前と死亡と入れて検索してみた。
しかし、それらしい結果は出てこない。そりゃそうだ。パパは芸能人でも有名人でもない。
こうして一般人の死は日常に埋もれていくのだ、とヒョーロンカみたいに思ったりもしたが、それが
よりパパの死に対してリアリティをなくさせている。
うーん困った、、、、。何が?、、、、パパが死んだ事?
ちゃうちゃう!思わず使い慣れない大阪弁で否定した。
死んだ事がリアルに感じられないから困っているのだ。
とかなんとかグジグジ考えていると、降りる駅に着いた。
「エミリ!」私を呼ぶ声がした。
声を発する相手を見て、あちゃー、と私は思った。、、、、、、、こんな時にこいつかよ!
ニヤニヤ、まさにニヤニヤという表現がぴったりなゲスな勘繰りフェイスで金髪ピアスの女が近づい
て来た。名前はショーコ。悪い事は悪いタイミングでやってくる。
「久しぶりじゃん!何してんの?」ケーハクでチクノーな声は中学時代から変わらない。
「うん、ちょっと家に帰るとこ」
「そんなのわかってるよう!何の仕事してんのよ!」 いちいち、めんどくせーな、こいつ。
「ちょっと、スタバ行こうよ、スタバ!」
こいつまた、いろいろ詮索して私の近況を聞き出そうという魂胆。あわよくばSNSにでもアップしよ
うと思ってるに決まってる。
「ちょっと家で用事があるから」 まさかパパが死んだとは言えずにそう答えた。
「エー!ちょっとだけだからいいじゃん!」
この女、中学時代の力関係でゴリ押ししてくる。何年経ってると思ってんだよ!
「私さあ、パパが死んじゃったの!、さっき。帰んなきゃいけないの!大変なの、わかる?!」
ショーコが一瞬たじろいだ隙を見て、私は振り向き家へ歩きだした。
ちょっと快感!
でもまだパパの死の実感はない
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