第1章

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 やぁ。君が転校生の作佐部結月さんか。よろしく。私は治郎丸朽葉と言う。変わった名前かい? それはお互い様かな。名前に関しては私も君も嫌と言うほど言われてきているだろうから今はその話しは無しにしよう。  私はこの学校の保険医だ。一応学校カウンセラーという立ち位置でもある。君が私の所に来たのには意味があるんだろう? まさか、転校初日からカウンセリングを受けに来たということもあるまい。そうだな。時庭心の自殺の事について聞きたいのかな?   そう驚く事もあるまい。こんな夏休み直前に転校してくるなんて何か事情があるんだろうと分かるし、君が転校してくるのに学校側に色々と働きかけがあったと聞いているからね。何かを調べに来たのだろうとカマをかけてみただけさ。結月さんが生徒として学校に来たと言うことは生徒で侵入したほうが調べやすいと言うことだろう。なら、この学校で起こった事件であれば時庭心の自殺だろう。推理じゃないさ、ただの推測だ。 君は誰に頼まれてきたのかな? 教えることはできないか。守秘義務。なるほど便利な言葉だ。おそらく生徒の誰かに時庭心は自殺じゃない。本当は誰かに殺されたんだから犯人を捜してほしいと頼まれたのか。ああ、結月さん、君はちょっと感情が表情に出すぎるね。そんなに驚いた顔をすれば図星だと言っているようなものだ。それともその表情も私を欺くための演技なのかな? それなら私も感服するよ。そんな苦虫を噛み潰したような顔をするんじゃない。可愛い顔が台無しだぞ?   好きに調べるといいさ。私も同じような相談を何度か受けたことがあるからな。
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