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「黄泉様、起きてください。」 誰か女の子の声が聞こえる。 「もう少し…。」 布団を捲られるが眠気にはなかなか勝てないもの。 ドフ!お腹の上に何かが乗った感じがする。 「クスクス、行きますよ?」 声がして両脇と両足裏に手が触れた感じがしたかと思うと、コショコショ…、コショコショ…。 「アハハハハ…、やめろ…。アハハハハ…、起きるからやめろ、やめてください。」 くすぐっていた手が離れ、お腹からも退いてくれたみたい。 「「おはようございます、黄泉様♪」」 笑顔で挨拶し、礼をする美菜、佳奈。 「ハァ…、ハァ…、おはよう、美菜、佳奈。」 息を整えるのに時間かかる僕は、現在、400mを全力疾走した後の様な疲労感に襲われている、まだ起きたばかりなのに。。 「黄泉様、くすぐられて身をよじるお姿かわいかったです♪」 「お母様にもお見せしたかったです♪」 笑って、身をくねらせる美菜と佳奈。 「絶対楽しんでいたよね…。まあ、いいや。着がえるから部屋の外に出て。」 「「はい、朝食の準備、ほぼ出来てますから。」」 「了解。」 双子姉妹は部屋を出て行った。子供のいたずらって残酷だ、メイドに弄ばれる僕は主人の威厳もない。 「アハハハ…、アハハハ…、ごめんなさい…母上。勘弁してください、母上。アハハハ…、アハハハ…。」 「黄泉ちゃん、本当にそう思っているかしら?」 母は笑いながら、脇をくすぐっていた。 「はい…。アハハハ…、アハハハ…、母上、本当です。母上に逆らったり等致しません。」 「そう?なら、許してあげようかしら?」 一旦、手を止める母。 「ハァ…、ハァ…、逆らうはずありません。母上、大好きです。」 それだけ言えば母は大喜びなのだけど、 「母上、黄泉は常々、母上のことをくすぐり悪魔がだと申してます。」 兄が大概、余計な一言を告げる。 「そうなんだ…、黄泉ちゃん?」 悪魔の笑みを浮かべる母…、 「そんなこと言ってません…、アハハハ…、アハハハ…、勘弁してください。お願いします…、何でも僕に出来ることならいたします。」 「本当、黄泉ちゃん?」 「はい、本当です。」 泣きながら懇願して漸く解放された僕はすごい疲労感でしばらく動けなかった。現在では、母が指をくすぐりの様にするのを見るだけで鳥肌立つ程のトラウマになっている。
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