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「ふぅ…。集団戦なんて柄じゃないよな。」
一息つく。
「(リリス、ベルフェゴル、終わったよ。お疲れさま。)」
「(かしこまりました。ありがとうございます。マスターもお疲れさまです。)」
後は、城兵が駆けつけて来るだろう。
「ご愁傷様…。」
後から聞いた話だけれど、関わった連中の家の減封と連中の1年の社会奉仕活動、国立魔法学校の生徒(魔法師の養成学校)は留年措置が命じられたみたい。
「黄泉ちゃん、自分のお手伝いさんを探して来なさい。」
唐突なことを言われたのは、あれから明くる日のことだ。
「お手伝いさんですか?」
僕は母に尋ねる。
「そうよ。黄泉ちゃん、あなたも後2年したら家を出なければいけないからね。とりあえず、皇都の屋敷に仮住まいになるけど、いずれは一人住まいしなければいけないし、働きながら住まいの管理は難しいと思うのよね。」
確かに、掃除機や洗濯機がある訳でないこの世界において、一人住まいは楽でない。
「そうですね。」
「そこで、支度金として10金貨渡すから、これの中で交渉して来て頂戴ね。返すのは出世払いでいいわよ。」
通貨として、銅貨、鉄貨、銀貨、金貨、黄金貨があり、銅貨100枚で鉄貨、鉄貨1000枚で銀貨、銀貨100枚で金貨、金貨1000枚で黄金貨というレートになっている。 銅貨一枚が1円位なので、鉄貨=100円、銀貨=10万円、金貨=1000万円、黄金貨100億円という換算になる。
「ありがとうございます。こんなに大金。」
「大金なんだから落としたり、盗まれたりしない様にね。」
「はい。」
10金貨の入った袋を渡された。
「収納!」
魔法で作り出した亜空間ボックスに収納する、落としたら大変だからね。
「それでは、行って参ります。」
「さて、出て来たはいいけど、どうしたものか…。中級貴族以上であれば、平民の人達に対して交渉しやすいけど、僕達は下級貴族だ。そして、ここ皇都は僕達の地元でない。奴隷商のところを見て判断するか…?最悪、奴隷契約の術式は僕でも出来るからそこは撥ねることが出来る。彼らの術式は反抗的な態度をとっただけで罰を与えるとか人道的なものでないって聞くしな…。奴隷を買うっていう僕も人道的でないけど、奴隷商の檻の中で不自由させるよりはよっぽど良いよね、と思う。」
考えている間に奴隷商の店の前に着いていた。
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