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「いらっしゃいませ。」
奴隷商の店主であろう、肥満体のおじさんが出て来た。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
店主が尋ねる。
「今日は家事を出来る、いわゆるメイドに適格な奴隷を探しに来ました。出来れば10代~20代の方を希望します。」
「さようですか?それではこちらから拝見くだされ。」
「お願いします。」
僕は店主について歩く。
「(ここは50人位奴隷がいるみたいだな。魔力が高い者もいるのを感じる。)」
途中、檻に入れられている子供や女性、男性を見た。心が痛むが、現在の僕一人の力ではどうにもできない。
「現在、こちらの女がおすすめですな。」
黒髪の女性、まだこちらに来て間もなさそうな感じで肉付きは良い方である。買い手はまだまだいるだろう、そういう問題ではないけど。
「うーん、こちらはまだ拝見させて頂いてないので、拝見させて頂いてよろしいですか?」
僕は店の奥の方を見やる。
「そちらは愛玩・妾用ですぞ。お客様には早いと思いますが?」
店主はニヤニヤとして答える。
「いやいや、僕も男ですから、興味はありますよ。」
「仕方ないですな。」
まあ、愛玩・妾用に買うなんて、金満貴族や成金平民といった人達だろう。
「お客様、こちらです。」
そこには、僕と同じ歳位~30代位迄の女性が檻に入れられて並んでいた。中にはハーフエルフの少女やエルフの女性もいた。
「(気になる子は二人、檻越しに寄り添っているということはハーフエルフの姉妹、もしくは知り合いか…。二人を離れさせるという選択はできないな。)」
「決まりましたかな?」
店主が尋ねて来る。
「はい、そちらのハーフエルフの女の子二人です。」
僕が指差したのは色白で艶やかな銀色の髪を肩迄伸ばした女の子二人。
「そうですか?奴隷契約術も合わせて12金貨となります。」
「奴隷契約は自分でできますから、9金貨にしてください。それに、この場で引き取らさせて頂くということで、余計な手間は取らせませんよ?」
「仕方ないですな。9金貨で手を打ちましょう。」
僕は9金貨を渡した。
店主は檻を開けて二人を出した。
「二人とも、こちらがおまえ達のご主人様となる方だ。」
「「はい…、よろしくお願いいたします、ご主人様。」」
「よし、二人とも行くよ。よろしくね。」
僕は二人を連れて店を出た。
「今後もご贔屓に…」
僕は贔屓にするつもりはないけどね。
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