止まらない想い

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空っぽになった家 私は上ではなく、下に降りてみた いつものリビング 食卓の方を見ると、恐らく私に用意してくれていたのだろう 私の大好きな魚の煮付けにラップがされていた 食べたかったな・・・ 冷蔵庫を開けようとするけど、案の定触れない 中にあるプリン・・・食べたかったー!!! くそぅ。 フラフラして自分の部屋に行く あ。机の中整理しておけば良かった!! 恥ずかしい物いっぱい入ってるし!! 私は机の中に大事にしまっておいた健斗からのプレゼントを思い出し なんとか開けられないか苦戦する けど・・・開けられるわけがない 死人がお化けになって 欲しいもの持っていけたら 世の中パニックだ 「えーん。あのブレスレットだけは・・・持っていきたーい・・・」 半泣きで言うと 「あんな安物、もっと良いもの買ってやればよかったな。」 後ろから低い声が・・・ 「健斗???!!!」 ガバッと振り返ると 幾分か血が減ったような・・・? 健斗が立っていた 「良かった!!また会えた!!!」 勢い余って彼に抱きつこうとするけど スカッと空振りする あ・・・忘れてた・・・ もう感じられないお互いの体温に切なくなる 「俺、思い残し・・・まだあったから・・・」 「やだ!!まだ解決しないで?私より先に逝かないで?」 泣きそうになりながら懇願する私を見て ふっと健斗は優しく笑った 「お前こそ、俺を置いて逝くなよ?」 ・・・・老夫婦みたいな会話・・・ 「ぶふっ」 思わず笑うと 「やっぱり、ひかりは可愛いな」 ・・・・なんてことを・・・?! お化けなのに、真っ赤になるのだろうか? 自分の熱は感じないけど きっと顔はデレているだろう・・・ 俯いていると ふわっと風を感じた 「触れないけど・・・俺の息の風は感じるだろ?」 健斗が私に向かってふーっと息を吐いている ・・・すごい・・・ 「うん・・・」 私も健斗に向かって ふっと息をかける 「はっ!!なんか、変態プレイみたいだな」 「ばっ!!馬鹿!!」 そう言いながら私たちはお互いを感じる方法を編み出した事に幸せを感じていた
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