出席番号 6番と4番③出席番号6番と36番 ①

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一時間経った頃宮田と交代で違うバイトの人が見張り台に座った。 その間俺が何をしていたかと言うとあのまま泳いだり、疲れたら少しプールサイドで休憩したり。 そうこうしているうちに俺一人しかいなかった大人用プールに宮田がやってきた。 「あー!宮田!こっちこっち~」 宮田はプールサイドで少しストレッチをすると静かにプールに入ってきた。 うん、なんだか水の中の方が宮田生き生きしているように見える。 一匹狼的な感じでクールに装っているのは、宮田には水の外の世界は息苦しいからなのかもしれない。 「ちょっと泳いでいいか?」 「うん!全然OK。俺それ見てフォームの研究するよ」 俺が了承すると宮田はゴーグルのゴムを引っ張ると、パチンと慣らしてセットして水の中に躍り出ていった。 少し離れて横から観察すると同じ泳ぎのはずなのに、俺の泳ぎとは違って宮田の泳ぎは静かだった。 体も沈んでいないし、速度も速い。 ここはプールで大きさに限界があるけれども、そういう制約が無くなればどこまででも泳いでいけそうな。 気が付くと研究するはずだった俺は宮田の華麗な泳ぎに魅了されてしまっていた。 俺も宮田のように泳ぎたいと思うけど多分無理だと思う。 もう根本的に違う生き物のように見える。 「すごい!すごい!宮田!俺ちょー感動しちゃった!」 泳ぎ終わった宮谷に駆け寄り、本音の気持ちをぶつける。 もっと宮田にすごいと伝えたいが、俺はこれ以上の言葉を知らない。 「ありがとな」 俺に礼を返す宮田は水も滴るいい男って感じだ。 「なあなあ、俺の泳ぎの指導してよ!」 「よろこんで」 俺は宮田の前でゴーグルをかけ直すと、気持ちいつもより丁寧に泳ぎ始める。 さながら発表会のようにゆっくり丁寧に。 25m泳いだところでターンをして最初の位置まで戻ってくる。 うん、俺的には過去最高に上手に泳げたんだけど……。 「ど、どうだった?」 「……ちょっと体の力が抜け切れてないな。変なところに力が入って体が沈みかかってる」 「えー!まじで?どうすれば力抜けるかな?俺抜いてるつもりなんだけど……」 宮田曰く体に力が入っていると余分な体力を使用するとの事。 そういえばさっき見た宮田が泳ぐ姿は静かで、俺の泳ぎとは別物だった。
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