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「無理に抜こうと思っても抜けないと思うぞ。そうだなまずはここに掴まって……」
「うんうんうん!」
宮田コーチに指示された通りプールサイドに移動して縁を掴む。
まずは子供の用にここでバタ足をしてみろとのことだった。
「こ、こんな感じ?」
「んー、まだ力が入ってるな……」
「だって……力抜くと体が沈んじゃいそうで……」
やはり俺に水泳の才能はないのか力を抜いてバタ足をしようと思うと、俺の気持ちを無視して体はどんどん水中に沈んでいく。
もうこのプールに塩を入れたいくらいだ。
塩を入れたら体浮くって言うし。
「俺が体を支えてみようか?支えていたら沈まないだろう」
「うん!頼む!」
宮田におなかの下辺りに手を入れられ、下半身が沈まぬよう支えられると先ほどよりも体から力が抜けているような感覚がしてくる。
でもバタ足で体を動かすと、たまに脇腹に宮田の掌が当たりちょっとくすぐったい。
水で冷えた体に自分とは違う体温が触れ合い、気持ち良いような気もする。
「んっ、ちょ、宮田……いったん離して……」
「……いいだろう」
感覚はつかめたので一度手を離してもらい再度挑戦するが駄目なようだ。
それは見ている宮田にも伝わっているみたいで、あまりいい顔はしていない。
「だめー、宮田。力抜けない!」
「……少し俺も手伝おう」
「頼む!」
今度は宮田は何をしてくれるのだろうと考えていると、在らぬところに刺激が走り思わず両手を離してしまった。
「な、なに?」
「いや……力が抜けるかと思って」
「いや、うん抜けたよ。思いっきり抜けたけど……」
と言うか抜けきって両手を離してしまったけれども……。
「なら効果的だな。すまない、いきなり過ぎたな。次は声かけてからやってみる。強さはあれくらいで大丈夫か?」
「え、あ。うん。……もうちょっと弱めで」
「分かった。じゃあ…………乳首に触るぞ」
鍛えられた体で顔も格好いいのに、そんな宮田の口から『乳首』だなんて卑猥な言葉が出てくるとは想像もしなかった。
そう、さっき宮田はいきなり俺の乳首を摘まんだのだ。
その瞬間体を駆け抜けた刺激で思わず俺は両手を離してしまった。
別に男の乳首なんて飾りでついているようなものだとは思うんだけど、あの江澤に触れられたの一件以来ちょっと気になる存在になっている。
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