出席番号 6番と4番③出席番号6番と36番 ①

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「ってかさ……え、俺やばくない?」 この間の江澤との一件と言い、今回の宮田の一件と言い快楽に流され過ぎじゃないだろうか。 というか、男としていろいろと大事なものを失っている気がする。 現在進行形で。 この市民プールは人も少ないし料金も安いので、夏休みの間は時間潰しに何回か利用しようと思っていたのに……。 宮田がバイトをしていると分かればもう来れない……。 恥ずかしくてどんな顔で会えば良いのか分からないのだ。 じゃあ俺はどうやって残りの夏休みの時間を潰せばいいのだろうか……。 それいよりも夏休みは頑張って会わずにいられるが、夏休み明けまでは避ける事は出来ない。 だって俺たちは席も近い。どういう顔で宮田と会えばいいのだろうか。 いや、あのクラスには大嫌いな江澤もいる。 後ろを向けば気まずい宮田、横を向けば嫌いな江澤。 前は見ないと先生に怒られる。 これが世に言う『前門の虎、後門の狼』ってやつなんだと思う。前門じゃなくて横門だけど。 多分だけど今日の事を江澤に知られてはいけないし、宮田に江澤との事を知られては行けない。 知られたら恐らく俺は無事じゃすまないと思う、もうそれはそれはいろいろな意味で。 まだ夏休みが始まったばっかりだ。 だと言うのに、もう終わった後の事を考えている俺ってなんだかすごく勿体ない事をしていると思う……。 とりあえず今はこの宮田のと思われるタオルをどうやって奴に返すかを考えなくては。 考える内容が憂鬱すぎて、それだけで頭が痛くなってしまう。 ま、普通に夏休み明けに返すしかないんだろうけど……。家の場所も知らないしプールには恥ずかしくてもういけないし。 暑いし暇だし母さんに邪険に扱われる場所かもしれないが、江澤にも宮田にも合わない我が家は俺にとっての最後の砦だ。 「あーあ、夏休みつまんないな。柿崎にも会えないし」 「夏休み終わるのが楽しみとか初めてだ」 とか江澤と宮田がそれぞれ思っているなんて知らない俺は、今年の夏はその砦からでないでひっそり過ごそうと、夏休み開始数日で決意したのだった。
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